パチンコ業界の進む道は③ 誰も考えないような発想の転換を

f:id:heyaganodame:20200407174253j:plain

こんにちは、のだめです。5月6日までの営業自粛期間が過ぎて全国各地で営業を再開する店舗が出てきました。パチンコ店としてもずっと営業自粛を続けていればその末に見えるのは閉店の2文字です。ですから期間を設けて営業自粛していたのですから、そこから営業を再開したことに関しては止むを得ないとも言えますが、これまでの営業自粛期間の間に見えてきたことがありました。

  • 休業要請を断固拒否して営業を続ける企業

休業要請はあくまでも「おねがい」であって強制ではないため、営業自粛要請を拒否したからといって「なんて店なんだ」と非難する人たちやワイドショーなどをみると「パチンコ店は悪」というイメージがいつの間にか刷り込まれてしまっている気もしないでもありません。『営業を続けないと廃業まっしぐら』といういわば背に腹は変えられない、今の状況で言えば「世間から非難の目を浴びせられようと、銭を稼ぐために営業をする」という意味になるでしょうか。ですから度重なる休業指示を固辞した企業としての姿勢は、企業側にとっては『企業の生き残りをかけて』といういわば大義名分を掲げての営業選択だと考えれば、賛成はできないまでも理解はできなくもありません。

  • 休業要請に応じて営業自粛をする企業

非常事態宣言と同時に営業自粛をした企業も多くありました。各都道府県からの休業要請がかかる前に、自ら営業自粛に乗り出した企業、休業要請が出てから自粛に応じた企業、再三の休業要請を固辞しつつ最終的に休業に応じた企業と、それぞれ休業開始時期は異なるものの、休業に応じた企業も多くみられます。自ら営業自粛を敢行した企業の多くは全国に展開する大型のパチンコ店でした。つまり内部留保に余裕のある企業から営業を自粛したと考えられると思います。また最後まで営業自粛を固辞した企業も5月6日という自粛期限が決まっていたため、いつからなら休業しても耐えられるかということを逆算していたとも考えられるかもしれません。自ら率先して営業自粛を発出した最大手の企業は「目の前の銭よりも企業イメージ」の方を選択したのだと思います。

  • 休業要請に応じて営業自粛をした結果そのまま廃業した企業

休業要請に応じた結果廃業した企業もいくつか出ています。休業したことによって日銭が入らなくなり、運転資金が捻出できる見込みがなく廃業を決めたというのが大筋だと思いますが、それ以前から存続か継続かを決めかねていたところ今回のコロナ禍を決め手に廃業を決めた企業も少なからずあるでしょう。パチンコファン歴20年と自分としても企業側が廃業の選択判断したということには本当に残念ではあります。私自身は大型店で遊ぶよりも小さな店舗、特に入れ替えも満足にできないお店に残っている昔懐かしの台を楽しむのが好きだったので、そうした企業が廃業を決めたことは本当に残念でなりません。

  • 休業要請に応じて営業自粛をしつつ、今出来る取り組みをはじめる企業

営業自粛に応じた企業は多くありますが、その中で営業自粛に止まらないいわゆる『発想の転換』で自ら動き出す企業が現れました。

  1. ZENTグループ(愛知県豊田市):マスク寄贈
  2. 玉屋グループ(福岡県):医療機関へマスクを寄付
  3. キング観光(三重県桑名市):医師会や幼稚園にマスクを寄付
  4. 大分県遊協(大分県):医師会にマスクを寄付
  5. キスケ(愛知県):市役所にマスクを寄付
  6. 大和商事(千葉県):除菌液の無料配布
  7. ダスラーグループ(石川県金沢市):テイクアウト用地を飲食店に開放
  8. ユーコーラッキー(福岡県久留米市):日本赤十字社献血場所を提供
  9. コンコルド800グループ(愛知県一宮市):テイクアウト用地を飲食店に開放
  10. ソシオ(大阪府茨木市):次亜塩素酸水の無料配布
  11. イルサローネ(大阪府茨木市):卵生産者の取引継続のため店頭にて販売

heyaganodame.hatenablog.com

一部の企業が営業自粛にとどまらず自ら行動しようとする企業も出始めていますが、メディアなどでの報道ではどうしてもパチンコ業界が全体的に『悪』というイメージで報道されています。休業要請に応じない一部の店舗がクローズアップされたことで、『パチンコ店=悪』という図式が成り立ってしまいました。ですから赤十字社献血場所を提供したパチンコ店の取り組みでは「休業中に”社会貢献!?”」と題して報道されており、しっかりと行動している企業への揶揄とも取れる報道の仕方に疑問を感じました。

飲食業とパチンコ店とのメディアでの取り上げられ方の違い

f:id:heyaganodame:20200417113034j:plain

飲食店もコロナ禍による営業自粛を余儀なくされ店をたたむかどうかの瀬戸際に立たされている店舗が多くあります。そんな苦境の中でテイクアウトを始めてみたり、食べたつもり券のように後で食事を提供してもらう権利のような形で店舗に投資するクラウドファンデイングが立ち上がるなど、飲食業界が苦境に立ち向かう姿を応援するようなメディアの報道が目立ちます。これは実際に国や県の休業補償では雀の涙にしかならず、もらったところで廃業が少し先延ばしになっただけと口にする飲食店店主もいるように、助成金補助金で凌ぐのはもう限界に来ていることもあって、メディアでもこの苦境に対する取り組みを特集を組んで報道するところもありました。

反面パチンコ業界の報道はといえば、ワイドショーなどではその報道内容のほぼ100%が「休業要請に応じないパチンコ店、本日も開店。他県からの遊戯客集中。3密で危険」のように開店すること自体が『悪』のような報道をする番組だらけで、それぞれのパチンコ店が独自に取り組んでいる事象についてはほとんど報道されていません。

これは4月7日の非常事態宣言が発令されてから、幾度となく各都道府県が実施した休業要請に応じずに、営業を続けている店舗と県を跨いでまでも遊戯したいパチンコ客の民度の低さを露呈させてしまったことによって、『パチンコ店=悪』という構図で報道することこそが正義のように各ワイドショーが取り上げたことで、イメージが刷り込まれてしまったわけです。(だからといってパチンコ店の営業再開について個人的に賛同しているわけではありません。あくまで飲食業界とパチンコ業界、どちらも営業しなければ廃業まっしぐらというのは間違い無いのに、報道のされ方の違いが気になってしょうがないということです)

飲食業界ではコロナ禍に立ち向かう取り組みが報道され、パチンコ業界では「営業やめろ」的なあまり良くない報道が目立ちました。唯一パチンコ業界と関係のある業界誌や機関誌が各店舗の取り組みについて取り上げる程度でした。

イベント告知(人を騙すこと)は得意なのに真面目なこと(人の為になること)の拡散が苦手なぱちんこ業界

f:id:heyaganodame:20200501095733j:plain

パチンコ業界では射幸心を煽るという名目で2011年6月15日に警察庁から広告に関する規制が強化されました。もともと風営法には射幸心を想起させる規制がありましたが、業界全体が見て見ぬ振りや意味を歪曲させて遊戯客に射幸心を煽るようなポスターやメール配信などを行ってきました。

「射幸心をあおる」とはどういうことかというと、毎月7のつく日は玉がたくさん出るということを客に想起させることとか、メール配信で特定の遊戯客に「今日は○番台は出るよ」的な内容を送信することで来店を誘発することです。そうした広告をみた客が「うへへ、今日は出る日なのか」と勘違いするような宣伝をすることをいいます。

このようにパチンコ業界では警察庁からのお達しや法律を自分たちの都合の良いように解釈し続けてきました。こうしたことの積み重ねがあり、広告規制が大幅に強化されイベント告知やイベントを想起させるメールなどが禁止されました。

パチンコ店舗はこうした規制が強化されても尚自分たちの都合の良いように規則を解釈し続け、遊戯客をいかに騙してお金を取るか、ということをし続けて『ばれなきゃOK理論』で色々やりたい放題だったわけです。このやりたい放題が当時の警察庁のトップの逆鱗に触れることとなり、「パチンコ・スロット業界完全終了」と揶揄されることとなる風営法改正に至るのですが、ここでは割愛します。

このようにパチンコ店はイベントの告知は幾度となく規制されていたものの法の網をかいくぐってイベント告知をしてきました。

今回のコロナ禍のようなパチンコ業界だけでなくほぼ全ての産業が対象となった休業要請の中で各店舗が独自の取り組みをはじめましたが、それらは専門誌や各報道でもいちニュースとしては取り上げられるものの特集を組まれたり、イベント告知のようにSNSで拡散することもなくひっそりと展開しています。

これは仮定の話になりますが、大手パチンコ店がコロナ禍において営業自粛だけではなく営業以外で社会に対してなにかしらのアプローチを行うことをSNSなどで拡散すべく大々的に発信はしていません。コロナが日本中に蔓延する以前はテレビのCMでパチンコ店の宣伝をする店舗もありましたが、コロナが全国に拡大したあとは広告自粛をここぞとばかりアピールして、自分たちの存在自体をうすめる戦略に出てしまいました。まるで自分たち自身が世間からあまり良いイメージを持たれていないのを自覚しているのを認めたような気持ちになりました。イベント告知を大々的に行うパワーがあるなら、同じように休業中でもこんな取り組みしているよ!的なことをSNSでバンバン発信したりCMに流してその取り組みに他の店舗も追随するような内容を報道したりと、できることはあったような気がします。

芸能人やタレントが「#つなぐバトン」のように「次は○○さん」といったようにコロナでも頑張ろう的な発信をSNSを通して行ったところ、各種メディアは大々的に報じました。これをパチンコ店がSNSで拡散して、企業の垣根を超えて実施していたらパチンコ業界のイメージは違う結果になっていたかもしれません。

もしもパチンコ店がこんな拡散をしていたら

f:id:heyaganodame:20200508004638j:plain

「みなさんこんにちは!○ハン□□店の▲▲です。今回はパチンコ店の垣根を超えた取り組み【#パチンコ店がつなぐ】バトンが、東京のダイ○ムさんから回ってきたのでやりたいと思います!○ハン□□店は本日同市◉◉商店街の飲食店の方々の協力のもと地元の医療機関に食事5000食を無料提供いたしました!コロナ禍で大変な医療機関の方々に少しでも元気を伝えられるように、、、病院関係者の方々、最前線でコロナと戦ってくれてありがとうございます!【#パチンコ店をつなぐ】バトン、次はキ◉ーナグループさんにバトンを渡したいと思います!」

 

「みなさんこんにちは!キコー◉グループの☆☆と言います!○ハン□□店の▲▲さんより【#パチンコ店がつなぐ】バトンのご指名をいただきました!当店では休業要請で営業を自粛した為備蓄していた不織布マスク5000枚を、地元の市役所に寄付させてもらいました!また週明けにも別に5000枚入荷予定となっている為、こちらは同市内にある医療機関に寄付させていただきます!マスクの寄付しかできませんが、少しでも皆様のお役に立ちたい、そんな気持ちからバトンを受けさせてもらいました!次は千葉県のガ☆ア◉○店に【#パチンコ店がつなぐ】バトンを渡したいと思います!よろしくお願いします!」

 

「どうも!【#パチンコ店がつなぐ】バトンが回ってきましたガ☆ア◉○店の△▷▽と申します!当店でも4月8日から営業を自粛していますが、今の自分たちにできることってなんだろう?お店の従業員たちと考えました。私たちの店舗はバトンが回ってきた店舗さんに比べて規模が小さい為同じ地域で普段は競合している他店舗さんが4店舗あるので、そちらの店舗さんにも話をしてみたら【#パチンコ店がつなぐ】バトン、是非一緒にやりましょうということになりました。ですので本日は千葉県○○○駅のパチンコ店5店舗が合同で炊き出しをやることになりました!炊き出しにいらしてくれた地域の方たちには、私たちの気持ちとしてマスクと除菌液を無料配布したいと思います。炊き出しは先着500人分です!今、私たちに出来ること、それは営業を自粛することではなく、地域の人たちに恩返しすることだと考えました!是非このバトンつないでください!次のバトンは○○○さんに繋ぎたいと思います」

 

 このような感じで店舗の垣根を超えて『【今自分たちにできること】を他の店舗につないでいく』といった活動をしたとしたら、SNSなんかで拡散するかもしれません。イベント告知のように遊戯客を騙すのが得意なパチンコ店ですから、逆にこんな店舗同士が手を繋いでバトンをSNSでのバトン回しなんかは拡散するきっかけになると思います。

例え話の3店舗目に出てきた店舗は、自店が小規模なので地域のパチンコ店も引き込んで地域にできることを行っています。

普段からお客さんを騙して自分の店に来させようとする戦略は大得意ですが、周りの店舗を巻き込んで自分たちにできることを発信していくというのは、普通の考えでは浮かんでこないのでは無いでしょうか。

ですが現在は業界誌や専門誌に取り上げてもらうことよりもSNSでバズる方が拡散力は大きいです。ですから普段なら絶対にやらないような取り組みを行ってSNSで拡散させることで「パチンコ業界=悪」という固定観念が取り払われて、報道ニュースやワイドショーなどでも「休業要請が出てるのにパチンコ店は営業している。けしからん!」という報道から、「今、パチンコ店の垣根を超えて社会に対してできることをつなぐ、というバトンが日本全国で連日発生しています」という話になったりする可能性はありますよね。

まぁ、絶対にないんですけどね。そんなことは。「新型コロナを鑑みて告知やメール配信を止めます」という告知よりも社会に対して良いイメージを持ってもらう戦略としては、ありなんじゃないかとは思います。

パチンコ業界の進む道は

f:id:heyaganodame:20200427144147j:plain

とはいってもパチンコ店もいち営利企業です。利益を上げてナンボ、という企業理念はどこも一緒で利益の出ないことに対して手を出したく無い気持ちもわかります。今は無駄な出費を最大限に抑えて当面を凌ぎたいというのが、どの店舗にも共通する考えでしょうからこうした取り組みは机上の空論かもしれません。ですが、現在全国のパチンコ店に持たれている世間のイメージはこれまでのグレーではなく、すでに完全なブラックに変色してしまっています。せっかく大規模パチンコ店が率先して営業自粛に踏み切ったのに小規模店舗の自粛拒否によって、『パチンコ店=悪』というイメージが蔓延してしまいました。

コロナ禍が収束して今後営業自粛が解消されていったときに、パチンコ業界への大規模な粛清がなされるのは避けられないような気がしています。

また特定都市では5月31日まで営業自粛要請は出されるでしょうが、おそらく多くのパチンコ店が続々と開店ラッシュとなると思います。パチンコ業界全体のことを考えれば営業自粛は必須なのでしょうが、他店のことを考える余裕がなくなってきているというのが多くのパチンコ店の本音だと思います。特に中小規模店舗は。ですから今後の営業自粛の継続はなかなか難しいとは思いますが、逆境の時こそ発想の転換が求められているのかもしれません。コロナ禍収束後の粛清が厳しいものにならないように祈りつつ、記事を締めたいと思います。以上、のだめでした。

heyaganodame.hatenablog.com

heyaganodame.hatenablog.com