事故車扱いで6万5千円で下取した車が、ひと月後82万円でネットで売られていていた件

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7月に約1年半乗っていた軽自動車「タントエグゼ」を売りました。売却金額は6万5千円。今日何気なく『そういえば先月売却したタント、中古で販売されてるのかな』という好奇心が湧いてきたため検索してみると、なんと約82万円で販売されていました。

 

6万5千円の車が82万円で販売されていた

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なんと私の知らないところで6万5千円が82万円に化けていました。

もしかしたら、自分の乗っていたタントと非常に酷似した別の車ということも考えられたのですが、車の状態を写した写真の一覧で推測は確信に変わりました。車体説明書の冊子の破れ方が全く同じでした。カーナビとドライブレコーダーの型も一致したこともそれが自分の乗っていた車だという確信のひとつとなりました。

車を下取りに出した理由

そもそも車を売るきっかけとなったのは運転中違和感を感じていたから。主に次のようなもの。

  • 右折時に運転席の下から何かが擦れるような異音
  • ブレーキをかけた際に小さく震えるような振動と異音

以上の症状が運転するたびに起きていたため、何度か購入店の検査場で点検をしてもらっていました。しかし毎回特に異常はないという診断だったので、そういうものなのかなと思い運転を続けていました。

修復歴があったことが判明

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しかし、年が明けてもその症状が続いていたため、何かあってからでは遅いので車の乗り換えも視野に入れて検討しようと思い、とりあえず下取り金額を知るために小倉の板金屋や中古車買取業者をいくつか回って値段の査定をしてもらったところ、意外な事実が判明したのです。

作業員「あのー、これ事故しました?」

私  「え?私は事故はしてないですよ」

作業員「てことは前のオーナーさんかなぁ。これほぼほぼ事故車だと思いますよ」

私  「えええ?そうなんですか?分かるんですか?」

作業員「うんうん、フロントのココの部品なんですけど、正規品じゃないんですよ。それとフロント部分の板金が曲がった痕があるんですよ。普通に運転してたらここは曲がらないから、多分ぶつけたんじゃないかなぁ」

下取りのために色々確認していた作業員がフロント部分の修復等の確認に入った際に違和感を感じ、車体の下から確認したところ、修復歴があるということが判明したのです。結局修復歴があることと、事故車の可能性が非常に高いということで下取り金額は思ったほどつきませんでした。

修復歴ありから事故車確定へ

自分の車がまさか。まさかと思ったのは購入の際、特に修復歴等の告知はされていなかったからです。しかし、事故車であるということが判明する確定事実が大手の買取店に下取りに持っていった際に判明します。

全国にチェーン展開している某大手の買取店に持っていき下取りをお願いしたところ、その大手の別の店舗が数年前に事故車として買取をしていたことが判明しました。事故箇所は追突事故によるフロントタイヤ周りの部品交換。追突事故については前の所有者が下取りの際の自己申告から判明しており、それをその店舗は記録として保管していたのです。念のため私の持ち込んだ車が某チェーン店で取り扱いの有無を確認をしたところ、買取履歴が見つかり、当該私の車が事故車であるということが確定したわけです。

大手担当者も「まさか自分たちが以前買い取りした車が巡り巡って戻ってくるとは」と言われました。

担当者「もともとこの車は愛知の店舗で以前の所有者が持ち込みで10万円で買取したんです」

私 「そうなんですね」

担当者「弊社では事故車の販売はしていないので、そのままオークションに出したところ15万円で売れたんです」

私 「それを買ったのが倉敷のK社だったのか…」

担当者「それが巡り巡って今度は小倉の弊社に戻ってきたということですね」

私 「なんかの因果ですかねぇ」

担当者「そこで提案なんですけど」

持ちかけられた提案は次のようなものでした。

  • カーナビ
  • ドライブレコーダー
  • ETC
  • 車検がだいぶ残っている

事故車なので車体としての値段は付かないが、以上4つに対して値段をつけて買い取ります、ということでした。事故車だということがはっきりと分かってしまい、これ以上ほかのお店に下取りの見積もりをとる余力が失せてしまい、提示された6万5千円で下取りとなりました。

事故車の告知義務について

私は、中古車を購入する際には、事故車については告知義務があるはずと思い、買取店の担当者に確認してみると、次のような回答がありました。

  • 修復歴や事故歴のある車が全て事故歴のある車とはみなされるわけではない
  • 事故歴の告知義務が必ずしも発生するわけではない
  • 車の骨格部分の修理交換については事故の説明義務が生じる
  • 車の骨格部分以外の修理交換については当該業者の判断に任せる

以上のように必ずしも告知義務が生じるわけではないという説明がありました。車の骨格部分の修理交換については車が安全に走るための核になるため、新しく所有者になる相手に当該車が事故車の有無を認識してもらった上で購入してもらう、というのが本筋になります。説明を受けてたしかに、と納得できましたが、担当者は続けて次のことも教えてくれました。

  • 中古車販売業者によっては事故車はなかなか買い手がつかないため、事故車扱いせずに修復歴なしの証明書などを発行してしまう会社もなかにはいる
  • 販売業者が行う車両点検において、修復部分が骨格部分でない場合については修復歴なしとする業者も多く存在する
  • コミコミで30万円など販売価格を固定して販売する業者などは修復歴なしとすることで買い手を見つけることもある

私が車を購入した販売店では修復歴についての告知は全くありませんでした。つまり私は運悪く事故車の説明を受けることなく事故車を買ってしまった、ということになります。

当該私の車は骨格部分の部品が曲がっていることから、見る人が見ればすぐに分かるのでこれを修復歴なしとして販売するのは難しいではないか、ということでした。

たまたま車を見にきた私が車の知識がないことを良いことに告知をせずに販売した可能性はありますね、と言われました。

雑な中古車販売店はいろいろ雑なことが多い

説明を聞いていけばいくほど、当該車を購入した販売店の雑なところが沸沸と思い出してきて、担当者に思わず吐露していました。

私 「この車を購入してから半年が経ったときに販売店から『実はまだ保険に加入してないんだよね』という連絡を受けたんですよ」

担当者「うわー、それはひどいですね」

私 「まぁ、保険証書が届かないことを不審に思って確認しておけば良かったのですが、相手に任せきりにしてしまっていたので自分も悪いのですが…」

担当者「まぁ、そうですね。引き落としなどでも保険加入の有無は確認できますからね」

この【保険、実は未加入でした事件】については、契約時に合わせて等級証明書を提示して加入保険の手続きをとったのですが、購入した販売店の担当者が等級証明書をシュレッダーにかけてしまう不手際を起こし、証拠隠滅のためそれを上司への報告を怠ったことが発端でした。

半年が経ち、加入予定だった保険会社から手続き途中になっているとの報告があり、くだんの件が発覚しました。等級証明書をシュレッダーにかけた担当者からはヘラヘラと「さーせん」と言われただけでしたので、この時点から不信感しかなかったのですが。

中古販売店はピンからキリまであります。価格面で手にしやすい中古自動車ではありますが、場合によっては高くつく場合もあることを念頭に中古販売店は選ぶ必要がありそうです。

【保険、実は未加入でした事件】の詳細につきましては、こちらの記事をご覧ください。

heyaganodame.hatenablog.com

今、元ワタシの車、タントはいずこに

某大手買取店で下取りしたワタシのタントエグゼですが、現在中古車ネット販売で検索することができます。そして現在の所有店舗はどこかなーと見てみると、日本の自動車業界を独走するトップ企業のグループ会社の販売店が所有店となっておりました。

その店舗のサイトに行くと写真や証明書の詳細を見ることができるのですが、その証明書には次のような評価になっていました。

  1. 総合評価:4(11段階評価で上から5番目) 傷やへこみが少なく全体的に良好
  2. 外装評価:C 標準的な仕様で傷やへこみが若干あります
  3. 内装評価:C 標準的な仕様で気になる傷やへこみが若干あります
  4. 修復歴 :なし

日本のトップ企業のグループ会社の販売店評価で、まさかの修復歴がなしで販売されていました。私が下取りに持っていった際に数店舗の販売店から『修復してるねー』と言われていたのに、です。これをみて中古車を買う際に何を信じたら良いのか分からなくなりました。

日本最大の自動車企業のグループ会社の診断では、事故車として判断していないということなのでしょうか。

元ワタシの車のわらしべプロトコル

私が下取りをした車の価格の移り変わりを年別に見てみると次のとおりです。

2010年 1,300,000円(前所有者購入:愛知県)

2018年   100,000円(某大手買取店が事故車として買取:愛知県)※1

        150,000円(某大手買取店がオークションで販売:愛知県)※2

        150,000円(倉敷中古販売店が買取:岡山県)

2019年   600,000円(倉敷中古販売店で私が購入:岡山県)

2020年    65,000円(某大手買取店小倉支店で下取り:福岡県)※3

        150,000円(某大手買取店がオークションで販売:福岡県)※4

        150,000円(日本最大手関連グループ会社が買取:福岡県)

        820,000円(中古車ネット販売、店頭販売価格で販売中:福岡県)

※1:前所有者の自己申告から確認したところ事故車として認定

※2:販売価格については、当時の履歴から某大手担当者が教えてくれた

※3:当該※1の車と同じ車と判明し値段がつかず。付属品に値段をつけて買取

※4:事故車は販売せずオークションに流すのが店舗の決まりとのことで販売価格を聞いた

金額の推移をあらためて見てビックリなのですが、事故車で値段がつかなかったのが私が手放したときです。それからわずか1ヶ月で82万円という高額で販売されていることにビックリです。

考えられること

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6万5千円で買取られたものがなぜ82万円で売られているのか、そのからくりを自分なりに考えてみました。正解かどうかなんて分かりませんが。

 1.某大手買取店側のケース

  • 私の車を下取りした時点で事故車の履歴が残っていたが、オークションに出した際に修復歴なしで販売していたケース

社内でのみデータ保秘し、外部オークションに車を売る際に修復歴が無いという形で販売していたとしたら、オークションに挙げる時点で15万円ではなく、もっと高額で販売していた可能性はありそうです。某大手買取店も利益をあげないといけませんから、しっかりと利益を乗せて販売していたことは大いに考えられます。

2.別会社が複数間に入っているケース

  • 某大手買取店がオークションに販売し(あくまで通常価格)、別会社A社が転売目的で15万円で購入。その後転売し再度オークションサイトに出品、30万円で販売。さらに別会社B社が転売目的で購入し、再々度オークションに出品し、現在の販売会社に流れたケース

このケースは十分に考えられます。某大手買取店から離れた元ワタシの車が転売目的で売買があり、最終的に現在の販売店に行き着いた可能性です。間に入る会社が増えるたびにマージンが追加されていくわけですから、最終的に82万円まで金額が膨れ上がったというのはありそうです。

3.現在の販売店が利益を大きく乗せて販売しているケース

現在の販売店は日本の自動車業界のトップにいるグループ企業の販売店なので、手に入れた車の状態が本当に良いのであれば、仮に82万円で販売されていてもおかしくはないわけです。

ですが、私自身運転するなかで何度も違和感を感じており、最終的に骨格部分の部品が曲がっているという診断を受けているわけで、自分が感じた違和感はコレだったのか、と自分の中では納得できてはいますが、現在の販売店では事故修復歴はないという診断をしている点がどうにも解せません。日本最大手の自動車会社の検査員の目は節穴なのかな、と思わざるを得ないため、このケースには無理があります。 

考えられるケースをまとめると

3つ考えてみましたが、1と2の両方では無いかと思います。つまり、某大手買取店がオークションに出す際に事故車の告知をせずに出品することである程度金額を上乗せして販売。私自身は事故も修復もしていないため、出品時に告知をしなかったという理由になる、のかもしれません。知りませんが。

某大手買取店はオークションで利益を上げてもしょうがないということは担当者が言っていたので、その言葉を信用するならばそこまで金額の上乗せはなく出品された可能性はあります。

このオークションの出品に関して間に入っている販売店が増えるほど各販売店の利益が上乗せされるわけですから高くなるのも頷けます。

謎、というか疑問

(買取金額が低すぎたので)納得はできていないものの、金額が高騰した可能性を考えていくうちになんとなくこういうことなのかも、という妥協点にはたどり着けたような気もしています。

しかしここで再び謎、というか疑問というか。

全国チェーンで中古車を扱っている某大手買取販売店、このチェーン店では、事故車や修復歴のある中古車については買取はしますが、販売は一切していません。これはホームページにも記載していますし、このご時世こんなことで嘘ついてもしょうがないので、おそらく本当のことだと思います。

その買取販売チェーン店の診断士が事故車と診断した結果と、現在販売されている国内自動車最大手会社のグループ関連会社で行った自動車の診断、当然ながら国内トップ企業の名前を冠しているため当然そのメーカーの整備工場などで検査をしているとは思うのですが、その検査で『事故車が事故車ではなくなった』可能性です。

つまり、事故車と判断しなかった理由。私には分かりませんが、しっかりとした検査をしていないとしか思えないのですが。

某大手買取販売店の診断と国内最大手自動車メーカーのグループ企業の診断、どちらの診断が優秀かどうかは私には分かりません。ですが、出来れば同じ診断結果であれば安心できるなぁとは思うのですが、現時点では双方の診断は【事故車】の扱いと【修復歴無し】の扱いと、全く逆の診断結果が出ているということです。どちらの診断が合っていてどちらかが間違っているわけですが、その成否は別に重要ではなくて、私の中では異なる結果が出ていることが残念でならない、ということです。

どちらが嘘をついているのか、いやそもそもどちらも嘘はついていなくてただ単純に私の下取り金額をほぼ0円に近い金額で買い取ってオークションに出品した買取販売店のやり方がうまかっただけなのかは正直分かりません。

ですが、この自分が乗っていた車が自分の手元を離れてわずかひと月で約13倍の金額に高騰して販売されている事実をみると、中古車の知識が薄い私のような素人にはとても売買はできないなと感じます。

誰を信じて車選びをしたら良いのか

何を信じて車を見たら良いのか

結局は、自分の知識や経験、はたまた車に詳しい知人を連れて車を見にいくというのが最善手なのかもしれません。

まとめ

今回は、7月に6万5千円で下取りした車がわずかひと月で82万円で販売されているという事実に衝撃を受けつつ、中古車業界怖いなーと感じたわけですが、今後も車の売り買いの機会は何度かあると思いますが、その際に自分が馬鹿を見ないように、自分が納得した上で取引をしていきたいとはっきりと感じました。

現在自分の車を下取り出そうかな、と考えている方もいるかもしれません。仮に下取りに持っていった際に【修復歴あり】とか【事故車扱い】と診断されても鵜呑みにせず、何店舗かを回って検討することは必須だと思います。そして出来ることなら車に詳しい知人がいればお願いして一緒に見てもらうというのがベストな方法なのかもしれません。とりあえず知識ゼロの素人ひとりで車を見に行かないようにしましょう。