人が人を変えていく 「破天荒フェニックス」を読んで

おはようございます、のだめです。

先日たまたまテレビをつけていたら、メガネチェーン店のオンデーズ田中社長がインタビューされていました。はじめは聞き流していたのですが、途中から気になってしまい結局最後までインタビューを聞いてしまいました。

9月に発刊された著書「破天荒フェニックス」についての会談。会談の中で田中社長は、執筆するに至った経緯を話していらっしゃいました。倒産寸前の会社を買い取って、10年で復活させたメガネチェーン店のオンデーズについての話。この話の素敵なところは、フィクションさがあまりないところ。(あとがきで、この話はフィクションですと本人は語っていましたが、登場人物や会社も実在する人・会社が結構登場してきました)

会談の中で、田中社長がオンデーズを率いていくことになった10年を本にしようと決心した時に、次のように申しておられました。

オンデーズで働く社員にも読んでもらえるように、ビジネス書としてではなく気軽に手に取ってもらえるものにしたかった。

ビジネス書ではないけれどビジネス書でもある。一般的なビジネス書は、こうしたら成功したといういわゆる成功への道筋が書かれているものが多いけれど、この本は失敗しか書かれていない。皆さんには、私の失敗を知ってもらって、それを回避すべく行動すれば成功に近づける・・・

(テレビで聞き流していたことを思い出しながら書いたので、内容が正確かは微妙ですが、こんな内容でした)

ビジネスで成功した人の成功談やこうしたたぐいの本はあまり読まないのですが、会談で自分の著書を「失敗しか書いてない」と言い切ったのがずっと頭に残っていて、数日後ネットでポチりました。買って大正解でした。 

とにかくはちゃめちゃなんだけど

「破天荒フェニックス レビュー」で検索すれば、いろいろな方が感想を述べているので、ここで詳しい内容については割愛しますが、とにかく田中社長がハチャメチャで、まさに「破天荒」を地でいくような人ってことはすぐに伝わってきます。

  • お金がなくて倒産寸前なのに、新規店をオープンしてみたり
  • お金がなくて倒産寸前なのに、他業種のチェーン店を買い取ってみたり
  • お金がなくて倒産寸前なのに、海外に出店してみたり
  • お金がなくて倒産寸前なのに、出店ペースをさらに上げてみたり・・・

といった、普通の経営者なら選択しないんじゃないかという道を突き進んでいきます。

どの選択をしてもことごとく失敗や苦難が待ち受けているのですが、それらの苦難をひとつひとつ乗り越えていきます。

実際に社長と一緒に働いていた人たちは、いつ突拍子もない発言が飛び出すかわからないので、戦々恐々としていたかもしれませんが、文字を通して読んでいる私は、こういう人が上司だったらきっと仕事やってて楽しかっただろうなぁと思いました。

ismが人を変えていく

この本を通して感じたのは、会社を復活させる方法というのは、巨額の資金や強力な主導者のもと行われる経営改革ではなくて、もっと根本的な、その会社で働いている人たちの気持ちや考え方を変えていくことだということです。

本の中で、何度も採算を取るために店舗を閉店させる選択を迫られますが、「社員は辞めさせない!」「この会社にとっての財産は人なんだ!」と何度も熱く主人公は語ります。

いつも突拍子もないことを言い放ち周りを呆れさせたり驚愕させたりと、読んでいて「この人、バカなのかな?」と突っ込みたくなるような場面は何度もあったのですが、波のようにオンデーズに押し寄せる失敗や苦難は、主人公の力ではなく、主人公を支える周りの人たちの支えがあって、乗り越えていくわけです。主人公の力量「だけ」で乗り越えたものはないかもしれません。

話の中でも会社の旧体質から脱せない社員たちもたくさんいて、社長の考えに賛同できない人たちはどんどん辞めていきますが、それでも会社に残り続けた人たちは、いつの間にか社長の考えを受け入れて、自らが率先して取り組んでいる描写が結構ありました。

本の中で主人公は、

人を変えるには実感出来る「結果」が必要だ。その「結果」は、大きなものじゃなくていい、普段よりももうちょっと頑張ったら手の届きそうな「結果」があれば、人は少しずつ変わっていく

といった感じのことを言っています。

主人公の取る行動一つ一つに、「バカなの?」と何度も思わせられるのですが、考え方自体は筋が通っているため、結果を実感出来た人が変わっていく描写もありました。それを見たときは私もはにかみながら読んでいました。

普通に読んでも読み応えあります。

読み進めるうちに思ったのが、書き方が池井戸潤風だなということです。とっても読みやすかったです。気がついたら読み終わっていました。

書いてある内容は、田中社長が経験してきたことが書かれているので、実話が基になっている分、その破天荒なやりとりひとつひとつに引き込まれました。

読み進めるうちに、無意識に感情移入してしまい、何度か涙がこぼれ落ちました。

なので、肩ひじ張ってビジネス書として読むのではなくて、リラックスして読んでもすんなりと内容が頭に入ってくる仕上がりになっています。

ビジネス書として読むなら

会談で田中社長も述べていますが、ビジネス書としても読み応えのある内容になっていると思います。

破天荒な社長のおかげで、次から次へと失敗や苦難が発生するのですが、こういうことしたら失敗する、という事例がたくさん並んでいます。

こういうことしたら失敗するのか。そうならないようにするためにはどうすればいいのか?ということを考えさせてくれる本でもあると思います。

会社経営についての数字等詳しいことは私には分かりませんが、失敗するたびに田中社長は「こうすればよかった!」と猛省するので、読み取るポイントがはっきりとしているのも読みやすい点だと思います。

まとめ

今月に入って移動にかかる時間がぐっと増えた分、こうした本を読む時間が増えました。今まで参考書や問題集ばかり読んできましたが、それ以外の本も読むようになり楽しさ倍増です。

先日紹介した「筋トレソリューション」と「破天荒フェニックス」はジャンルも本の性質も全く異なりますが、読み応えはバッチリです。

電子書籍なら荷物も増えずに読むことが出来ます。

たいへん読みやすいので、620ページと大容量ですが、それを忘れさせてくれるほど一気に読み終わります。おすすめです。

 

それでは、今日も素敵な1日になりますように、のだめでした。