倉敷の水島工業地帯に1年住んで分かった16のこと

昨年11月に転勤で岡山県倉敷市の南に位置する工業地帯、水島に引っ越してきました。水島での生活がはじまってからちょうど1年が経ちました。この地区では工業地帯で働く人々も多く、三菱自工JFEがあるので、自動車生産業や鉄鋼業、そして運送業に関わっている人が多くいる町とも言えます。

愕然とした第一印象は1年で変わる

昔から水島で働いている人から話を聞くと、「昔の水島は賑やかな街だった」と言う人が多くいます。実際、現在の水島の中心部は見事なシャッター街で、寂れたバーなど過去の遺産かな?とも思える風景も多く残っています。そのため都心部からはじめて水島に来ると、あまりの違いに愕然とするかもしれません。正直一年前にはじめて水島に来た私は「なんてところに来てしまったんだ」と愕然としたものです。

しかし水島に1年住み続けた結果「案外水島も良いところじゃないか」と感じるようになっていました。

当記事では、これから仕事で水島に転任することになったり、期間工などで都心部から出稼ぎにやってくる機会のある方もいるかもしれませんが、私のように街に降り立って、愕然としたり、水島にきたことを後悔したりしないために、実際に水島に住んでみて分かったこと、感じたことについて、これから水島に来る方への手引きになればいいな、という思いで記事を書きました。水島でも安心して生活出来るように、ポイントを衣食住の3つの視点に分けていますので参考になれば幸いです。

衣食住の「衣」について

まず水島で生活を始めるにあたって優先すべきは生活基盤を整えることかもしれません。水島地区周辺に居住区を構える予定なら尚更です。まずは衣食住の「食」から解説します。

1.コンビニ、あります。

コンビニなんてどこにでもあるじゃないか、そう思われる方もいるかもしれません。車で水島に来ると実感が湧きませんが、倉敷駅から水島臨海鉄道に乗って水島に来ると感じることのできる田舎風景。始発駅の倉敷市駅こそ有人ですがそれ以外は全て無人駅になります。水島駅ももちろん無人駅。はじめて電車に乗って水島に到着したときに、「立ち尽くすってこういうことか」と思ったものです。

ですが安心してください。どの駅で下車しても概ね徒歩5分圏内にコンビニがあります。コンビニがあれば最低限の生活必需品は揃います。引っ越す所にもよりますが、水島臨海鉄道沿線に居住地を構えてもコンビニは近くにありますのでご安心を。駅から見える風景も時期に慣れます。

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上の画像を見てもらえれば分かりますが、画面右側に水島臨海鉄道が通っていますが、主にその沿線にコンビニはあります。臨海鉄道の「常盤」が水島の中心的な繁華街となっています。水島駅の真下に県道が通っていますが、この道路を境に南部は水島工業地帯となります。そのため工業地帯には飲食店やコンビニがほぼありませんので、徒歩で工業地帯に入っていく際には気を付けて下さい。

2.スーパー、あります。

水島周辺を散策すると分かりますが、この周辺に展開しているのが「ニシナフードバスケット」です。クリーニング店や100均ショップ、洋服店が併設されているニシナもありますので、コンビニに飽きたらニシナを利用すると良いでしょう。ただ、水島の中心にあるニシナだけは閉店時間が19時と恐ろしく早いため気をつけてください。

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画面上部に敷島やというスーパーがあります。ここは主に肉類が恐ろしく安いです。怪しいところから仕入れてるんじゃないかって思うくらい安いのですが、理由は簡単で生肉工場が併設されているため、余分な経費を抑えられているのが安さの秘密だと思います。また、ここを利用すると分かりますが、他のスーパーに比べて外国人利用率が非常に高いです。安いのが好きというのは世界共通なんですね。

3.イオン、あります。

イオン=超巨大ショッピングモールを連想する方もいるかもしれませんが、上の地図を見てもらえると分かりますが実は水島にもあります。水島のイオンは「イオンタウン水島」。巨大なショッピングモールを連想してしまった方はすみません。水島イオンはマックスバリュダイソーがメインで、フードコートといくつかのショッピングセンター、そしてアミューズメント施設となっています。イオンモールにくれば生活必需品はひととおり揃いますが、水島のイオンでは、ある程度のものは揃います。フードコートはうどん屋餃子の王将、そして喫茶店の3店のみ。この点は残念と言えるかもしれません。

4.ドラッグストア、あります。

スーパー以上に見かけるのがドラッグストア。水島周辺にあるドラッグストアの中では「ザグザグ」と「コスモス」、「金光薬品」の3つのストアはかなり大きく、日用品を販売していたり、スーパーや飲食店が隣接しているところもあります。住居の近くにニシナやイオンがなくてもドラッグストアはきっとあります。薬も食べ物も購入できるドラッグストアはかなり重宝します。また、スーパーとは違い深夜0時まで開いているストアもあるため、夜遅くに帰宅しても開いているというのはかなり安心できるのではないでしょうか。

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これらの店舗は大型店舗になっており、近隣に飲食店が立ち並ぶお店が多いです。

5.キャバクラ、あります。

水島の飲み屋街に一軒、外装をテカテカと照らすキャバクラがあります。その名もキャバクラ六本木。水島なのに六本木です。ここ以外にも小規模ながら水島にはいくつかキャバクラがあるので、夜の街を楽しみにしている方も満足できるのではないでしょうか。残念ながら私は一度も入ったことがないため、これ以上の説明はできません。

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夜になってここのキャバクラに来ると分かりますが、寂れた繁華街の中で一際異彩を放つビルがココです。遠巻きに見ても目立ちます。

食事編まとめ

以上のように食事の面で不便を感じることはあまりないかと思います。転勤前と同等の生活水準を保てるとまでは言いませんが、不便を感じない程度に食事の面では問題なく生活出来る施設が揃っています。ですので、安心してください。

次に衣食住の衣について解説します。

6.ユニクロとGU、あります

実は水島にはユニクロとGUがあります。しかも併設でかなりの大型店。ブランドを気にしないのであれば、ユニクロでほぼ洋服は事足ります。夜20時まで開いているので仕事帰りに買い物も出来るかと思います。ちなみにユニクロの隣にはアベイルという若者向けの洋服店もあります。入ったことはありませんが、靴なども買えるみたいです。

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外観は大変シンプルですがかなり大型です。土日は車での来店が多いため駐車できずに待ち時間が発生することも。

7.しまむら、あります

低価格でバラエティに富んだ商品をお探しなら、しまむらですよね。もちろんあります。

衣編まとめ

ブランド品を見に纏うことにこだわりがないのであれば洋服も十分揃えることができます。紳士服も近隣にあるので、生活に困るということはあまりないかと思われます。

住み心地を求めるなら水島はアリかも

次は衣食住の住居について解説します。水島工業地帯は名前が示す通り水島南部には広大な工業地帯が広がっています。そのため、水島周辺にはこうした工業地帯に勤める方達が多く住んでいます。会社の社宅や寮の場合は住居の選択肢はないかもしれませんが、会社から住宅補助が支給されて自分で住むところを探す場合はある程度自由になります。

 

8.家賃4万円で贅沢な部屋に住めます

都内でワンルームの賃貸を探すと狭い割に家賃相場が平均で6万5千円とかなり割高です。部屋の広さは大体16平米。16平米だとユニットバス、電気コンロは1口、冷蔵庫、洗濯機…といったところでしょうか。(某レオ○レスと比較)

水島で6万5千円の賃貸を探したらかなり贅沢な物件に住めるでしょう。2LDKや3LDKの部屋もあります。

駐車場を借りるとなると、東京都の駐車場の相場(港区、千代田区中央区)は5万円ですが、水島では3,000円で駐車場が借りられます。つまり圧倒的に住宅環境が良いのです。実際、私は現在1LDK(60平米)の賃貸で駐車場料金込みで40,000円です。

生活の基盤となる住居が都心と比較して優遇されているというのは水島に住むメリットと言えるかもしれません。

仕事から帰宅してワンルームの激せまアパートで寛ぐのと、広々としたリビングでゆっくりと1日を振り返る生活とを考えたら、私は広い住居でリラックスして過ごしたいと思います。

9.ビジネスホテルも充実

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逆に短期間の出張などでビジネスホテルを利用する機会もあるかもしれませんが、一応水島臨海鉄道沿線にビジネスホテルは多数あります。しかし工業地帯に近くなればなるほど空きを見つけるのが難しくなります。ビジネスホテルの宿泊相場が1泊6,000円前後と決して安いわけではないので、部屋探しではなくビジネスホテルを利用するのであれば、倉敷駅周辺のビジネスホテルをお勧めします。価格が殆ど変わらない代わりに栄えていますので。休日には美観地区への観光も気軽に出来ますしね。

衣食住まとめ

便利に囲まれた都心の生活よりも、閑静でのどかな田舎町の方が自分には合ってたのかもしれませんが、ゆっくりとながれる時間を感じることのできる水島という土地が性に合っていたと言えるかもしれません。

都市部はひとことで言うならば、便利に囲まれた街です。手の届く範囲に様々な便利なものがあります。反面水島の生活は、昭和の町を感じさせる昔の街並みを感じられます。痒いところに手が届かない不便さはありますが、まぁそれでもいいじゃないかとも思えてくる水島は案外住み心地の良い街なのかもしれません。

ここまで、水島の衣食住に関してメリットや良い点ばかりを挙げてきましたが、もちろんデメリットな点もあります。ここからはそんなデメリットな面について解説してみたいと思います。

10.電波が弱い。

水島にきて一番苦しんだのは通信環境です。とりあえず水島工業地域内ではモバイルルーターwimaxなど)は圏外と思っておいた方がいいです。

水島の中心部ではさすがに通信状況は改善しますが、住むところによっては電波が入り難かったりするため、自宅のWi-Fi環境が整うまではかなり苦労します。

水島臨海鉄道沿線は通信回線はまともですが、離れるに沿って弱くなっていくイメージです。インターネットを良く使う方は、住居内の通信確保のためにも環境の整備が必須と言えるかもしれません。

11.乗り過ごし・乗り遅れにご注意を

一応水島にも電車が通っています。水島臨海鉄道です。いわゆるローカル線と呼ばれる電車です。通常は1両編成、通勤通学時間帯は2両に増車します。通勤通学時間帯は1時間に3本ありますが、それ以外は1~2本です。

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都心部で「あちゃー、電車乗り損ねた!」となっても数分後には次の電車が来てくれるので、電車のありがたみを感じる機会はあまりないかもしれません。

水島では、「あちゃー、電車乗り損ねた!」となった場合、次の電車が来るまで最悪1時間待つ必要があり、駅によっては乗り過ごしたら次の電車が来ない場合もあります。

そんなわけで、水島で電車に乗り遅れると言うことは1時間無駄にするということでもあります。ですから電車を使う人はスマホや財布に時刻表を忍ばせておく必要があります。

12.バスはあてにできない

水島工業地帯方面に行きたい場合はバスはほぼ乗れないと思ってください。まずは水島工業地域内にあるバス停の時刻表をご覧下さい。

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朝7時台に1本、夕方18時前に1本あるだけです。土日祝日は残念ながら運行していません。水島から倉敷方面も同様で朝夕1本あるだけです。

ローカル線とバスの時刻表を見るとわかるのですが、基本的に水島工業地帯は水島周辺に住む人と、倉敷から通勤してくる人の2種類がメインになっており、倉敷からはほとんどの方が車を利用するため、公共路線が充実していません。

会社の上司に話を聞くと、昔は工業地帯の中までバスが常に走っていたが、時代の移り変わりの中で年々減少していったとのこと。つまり水島で生活をする上でバスは選択肢から外す必要がある、ということです。

13.自動車が必須

都心に住んでいた頃は、電車やバスなどの公共機関が充実していて車がなくても特に不便を感じませんでした。そのため車は売却しました。また駐車場代も馬鹿にならないので車を手放したのは間違っていなかったと思います。

しかし水島にやってきて車がないのは致命的でした。移動手段に公共機関が頼れないため、車がない場合は基本的に徒歩か自転車になります。車があってようやく不便を感じなくなるスタートラインに立てると言っても過言ではないかもしれません。水島工業地帯に三菱自動車があるため三菱製の自動車が多い気がするのは気のせいではないと思います。そして、これは水島に限ったことではないかもしれませんが、特に水島は軽自動車率が高いです。税金の面や維持費、車両費などの面でもコスパが良いのかもしれません。かくいう私も軽自動車を購入しました。 

14.水害警戒地帯

水島工業地帯は埋立地です。その周辺も海抜0メートル地帯が多くみられるため、ハザードマップを見てみると水島一帯避難地区に指定されています。

過去に1度だけ浸水被害があったと上司は言っていました。水島工業地帯で働く人たちの多くが県外からやってくる人が多いので見逃しがちですが、ハザードマップは一度しっかり確認して、避難場所を確認しておく必要があるかもしれません。

しかしながら年々自然災害による被害は想定を上回ることが多々ありますので、逆に安全な場所を探す方が難しい時代になってきているのかもしれません。デメリットの項の一つに挙げましたが、逆にハザードマップ区域内にいることで常に意識を置いた状況の方が対応出来るのかなと思ったりもします。

15.車を持つと、遠くへ出かけたくなる?

自動車が必須と言うのは前述の通りですが、車を持つと行動範囲が一気に広がります。ちょっと近くのラーメン屋に~という感覚で普通に瀬戸大橋を渡って香川県に行ったり広島に出かけたりします。水島から岡山に行くのに約1時間かかりますが、同じ時間で香川や広島まで行けてしまうため、ちょっとそこまでの距離が段々普通の距離ではなくなります。また、岡山を含め周りのどこに行っても海の幸に恵まれていることもあり、週末は美味しい料理を食べに他県へというのが割と普通になってきます。決して水島で時間を過ごすのが嫌で出かけたくなるのではありません。

16.行楽施設に乏しいが飲み屋は多い

水島周辺には行楽施設が極めて少ないです。カラオケ(1店のみ)やパチンコなどはありますが、先端技術に触れられるようなARやVR施設だったりは皆無です。ゲームセンターもあまり目にしません。しかし水島は工業地帯に勤める人たちが多いため飲み屋は多いです。スナックやパブも充実していますので、お酒を飲むところには困らないでしょう。お酒が友達と言う人には割と住みやすい街かもしれません。

まとめ

以上、水島についてまとめてみました。この一年住み続けて感じたのは、「慣れると割と住みやすい街」だということでした。通信環境が整うまでは不便さに苦しみますが、ネット環境は二の次と言う方であれば、すぐに慣れると思います。

今回は水島に住むことで感じるメリットとデメリットを16個にまとめてみました。

観光地や行楽施設等も乏しいので、水島に来る人の多くは、働きにやってくるのが大部分です。とはいってもせっかく生活の基盤を立てていくわけですから、スタート時点で悲観しないで済むのであれば越したことはありませんよね。そんな方達への手引きとなれば幸甚です。のだめでした。