人手不足と低賃金は低価格産業が生み出した副産物。そしてコスパが良い=価格が安いと思ってる人が多い気がします。
こんにちは、のだめです。
時給1500円と外食産業では高めの設定で10代20代の若いスタッフ中心ですが、現場はものすごく忙しくて、新人教育も殆ど無いままに現場に放り出され、見よう見まねで覚えていくスタイルの職場。
見よう見まねで覚えていくので、仕事が自己流になって行き、仕事のスキルもまちまちになる。
そして、最低限の人員でやっているので、急遽スタッフが休んだりしたときに代えが効かず、死に物狂いで現場で働くことに。
そんな職場なので、休んだスタッフが出勤しづらくなってそのままばっくれようものなら、過酷な現場がいつまでも続くことになる。
現場を回すためにまた1500円で募集をかけつづける
という飲食店と
時給1000円だけど、店舗にいる従業員層は20代後半から40代と幅広い年齢層だけど、人員は充実していて、スタッフ同士和気藹々した雰囲気の職場。
自分のペースで働けるので、週2日〜3日でも大丈夫。
新人のうちは、先輩スタッフがしっかりとついて仕事を教えてくれるので、しっかりと覚えながら仕事に打ち込める。
スキルが着実に上がるのを自分も実感できる。
昇給はそんなに上がらないけど、学校の試験前とかは休めるし、急遽スタッフが休んでも、各々のスキルがある程度ついている状態なので、お互いの連携を上手く取ることで不足分をカバーすることが出来る。
和やかな雰囲気なので、急に休んでしまっても険悪な雰囲気にならず、職場復帰も容易。
という飲食店。
1500円と1000円のどっちの仕事に就きたいかという2択だったら1500円の方が魅力的ではあります。
が、職場環境をみると1000円の方が働く方としては良いのかな、とも思います。
高時給で求人をかけているのに人が集まらないというのは、やはり理由があるわけで、人口的に人が少なくなっていることももちろんあるのでしょうが、
「あそこのバイトはやばい、めっちゃきついよ」
などの、知り合いやSNSなどでの情報交換で内情が分かってしまうため、なかなか人が集まらない、ということの方があるように思います。
以前働いていた会社でもそうでしたが、業界的にかなりブラックな業界なので、時給を高く設定してもすぐに辞めてしまうという負の連鎖に陥っていました。
最終的には人を募集しても集まらないので、最低限の人員でやりくりできるように設備投資にお金を投じ、求人自体の募集を辞めました。
全台各台計数にし、マイクパフォーマンスなど無駄を一切排除したため、店の雰囲気自体が変わってしまい、客数も減少しました。
客数が減り、現場の仕事量が減るという結果になりましたが、現場の設備投資にお金をかけたというのは、それはそれで一つの正解なのかもしれません。
しかし、誰かが辞めて求人をかけたとしても最低限の人員数は変わらないので、働きやすい職場になるとは思えず、多分すぐ辞めてしまうでしょう。
働く人が時給で選ぶ時代からどういう働き方が出来るのかという生活スタイルに合わせた仕事選びをする人が増えてきたことで、職場環境の良くない業界がクローズアップされたようにも思えます。
企業側から見ると、人件費はコストなので、なるべく低く抑えることで利益を出そうとします。
それと同時に他社と同じ価格設定では、集客が出来ないと、1円でも安くしようとして、販売価格を下げることになります。
500円で売っていたビールを250円で目玉商品として価格設定。
1品料理も平均500円から280円に価格を落として、他店と差別化して設定。
当然販売価格が低い方が、客側から見たら嬉しいことなので、安い店に行きたくなります。
だた、店の利益という点で見ると、
今まで500円のビールを1日100杯販売し、500円の1品料理を200品出していた飲食店が、価格を下げたことで、
今までと同じ利益を出すには、250円のビールを1日200杯、280円の1品料理を357品売らないと以前と同じ売り上げになりません。
価格を下げた分、客が店に来る保証はどこにもなく、来たとしても、単純計算で倍売らないと元が取れなくなります。
そのため、じわりじわりと人件費などの経費が膨らんで行き、コストを究極まで押さえないと利益が確保出来なくなってくるわけです。
そんな職場で、働きたいか?って言われたら私だったら断ります。
単純に仕事量が倍に増えたのに、時給は増えていかない。
スタッフも最低限。
仕事も覚えられない。
だから人が入ってもすぐ辞めていく。
売上が落ちてくれば、店長は
「客数が減って来た。まずいな。17時から1時間タイムイベントでビール100円にしよう」とかの無茶振りをするわけです。
最低限の人員の中で5倍の人数が来た時に現場を回せるか問題
もう狂ったように働くしかありません。
狂ったように働いて、イベントをやる前の売り上げと大差なかったらやる意味ないですよね
新横浜でも、価格破壊じゃないですけど、かなり安い居酒屋はかなりたくさんあります。
安い居酒屋が増えれば増えるほど、客側からしたら、低価格のお店を選ぶ選択肢が増えるわけで、限られたパイの取合いは目に見えています。
そんな小さなパイの取り合いで値段を下げるのではなく、
価格競争でお店の宣伝をするのは辞めて相応の価格で余裕のある経営をしたらもっと楽になるんじゃない?と思うのですが、頭の良い経営者の方々はどうなのでしょうか。
250円のビールを500円に戻す
価格を下げるのはいつでも出来ますが、価格を上げることはなかなか出来ません。
「値上げイコールお客さんが減る」と思っている人が多数だと思います。
値上げといってもべらぼうに高くするのではなくて、その商品に見合う適正価格に見合う価格に戻す、という意味です。
客足が遠のくのは、一時的なことだと思います。
客足が遠のいたことで、従業員にも余裕が出来、今まで出来なかった教育をすることが出来るのではないでしょうか
スタッフ一人一人のスキルが上がっていけば、今まで狂ったような現場が少しは余裕を持って回せるようになるのではないでしょうか
働く環境が変わっていけば、職場の雰囲気も殺伐としたものから、和やかなものに変わって行きませんかね
SNSで、情報が瞬時に不特定多数の人に知れ渡る時代です
価格を上げたことで一時的に客足が遠のいても
それでも足を運んで来てくれたお客さんがSNSを通して、宣伝をしてくれるのではないでしょうか
まぁ、SNSを見るとよく
「コスパがいい」という言葉を見かけますが、
という意味で使われている気がしてなりません。
もともとコスパとは、コストパフォーマンスの略で、意味としては、
商品などの価格に対して、期待する効果や性能が実際の効果や性能を上回った時に使われるのが本来の意味です。
ある1000円の商品に対して、こういう用途で使おうかなと思って購入したが、購入後に、「え!こんな機能あったんだ!」とか「おぉ、こういう使い方も出来るのか!便利」といった具合に
当初の期待を超えた成果が得られた時に、コストパフォーマンスが高いと言えます。
ですが、最近見られる「コスパが良い」というのが
「ここ、いつも夜食べにいくと5000円からしかないんだけど、お昼だけ1500円で食べられるんだよ」
「えぇ!コスパいいじゃん!」
みたいな感じで使われているような気がしてなりません。
先ほどの居酒屋の相応の価格にする、という話に戻すと、
「激安だった居酒屋のビール500円になっちゃったんだってさー」
「えー?コスパ悪くなーい?やだー」
「だよねー。コスパ悪いし、他のとこ行こうー」
みたいな。
ですが、本来のコスパの意味で考えたとしたら、こういう会話も想像出来ませんか。
「こないだ話した激安だった居酒屋、ビール500円になってコスパ最悪〜って話してたじゃん?」
「あったあった、そんなの。コスパ悪いよね〜」
「そう思ったんだけど、昨日たまたま行ってきたんだけどね、料理頼んだら一皿一皿結構ボリュームがあってね。4人で行ってきたんだけど、みんなお腹いっぱいになっちゃよ〜お酒も500円だからコスパ悪いって思ったけど、よく考えたら周りと同じだしね」
「前はバタバタしてスタッフも忙しそうだったけど、昨日はゆったりとしてて、食事持ってくる子がイケメンだったの〜」
「え!イケメン!」
「ウンウン。今までも働いてたらしいんだけど、全然気がつかなかったよ〜」
「バタバタしてたもんね〜」
「なんか〜、普通の居酒屋に戻ってたんだけど、料理を持ってくるたびにその料理の簡単な紹介なんかがちょっとくすぐられる感じでイイかも」
「え〜、良くな〜い?」
「前までは料理はどれも小皿だったけど、盛り付けもパナイ感じで、SNSバエするし〜」
「ちょっと贅沢出来た感じ〜」
「え〜なにそれー、コスパ良くなーい?」
「今夜行ってみようよ〜イケメンに会いたーい」
みたいに、なりませんかね・・・笑
値段が安い=コスパが良いのではなく、
期待していた以上の見返りが得られた、と感じられたなら、それはコスパが良いと言えると思います。
居酒屋に限りませんが、価格を抑える企業努力をするのではなくて、商品本来の価格に設定することで、価格以外の価値を高める努力をする時期が来ているのではないか、と思います。
昨日のポケットティッシュをもらって、そんなことを感じましたが、先日のステーキ店然り、ここ最近よく人手不足や低価格低賃金の言葉をよく耳にしていたので、ちょうど良い機会だと思い記事にしました。
それでは、今日も素敵な1日になりますように、のだめでした。