九州自動車道名物【トンネル23】について トンネル23一挙公開とトンネル名の由来

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九州自動車道(以下、九州道)は福岡県北九州市門司区を起点として鹿児島県鹿児島市まで、九州を南北に横断し全長はおよそ346kmにも及びます。毎日この九州道に数多の物流トラックが縦横無尽に往来し、日本の物流、九州全土の物流を支えているわけです。

 

この南北を横断する九州道にはいわゆる名物と呼ばれるポイントがあります。今回はその名物のひとつ、「23箇所連続で連なるトンネル」についてご紹介しようと思います。

23箇所連続で連なる名物トンネルはどこにあるの?

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写真を見ると分かりますが青い線が九州道となります。九州道を博多近辺から南下し、熊本県八代市のの八代JCTから人吉市の人吉ICまでの1区間はおよそ38.5kmですが、この区間に九州道名物の23連続トンネルはあります。ちなみにIC間38.5kmというのは日本の高速道路で最長区間となっています。最長区間なのには理由があります。写真をご覧ください。

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左上の八代市から右下の人吉市に抜けるためには山間部を通過する必要があるからです。(※写真では分かりにくいですが、八代市から人吉市に延びる緑色のラインが九州道となります。)

九州道名物【23連続トンネル】一挙紹介

九州道全体で見るとトンネルは32本ありますが、この八代JCTー人吉ICの区間に23本が集中しています。集中している理由は前述の通り山間部を通過するからです。九州道のおよそ72%がこの1区間にトンネルが集中しているわけです。それでは連続で続くトンネルを一挙に挙げてみたいと思います。

  1. 淡島トンネル(あわしま 距離:1780m)
  2. 柚木河内トンネル(ゆのきごうち 距離:590m)
  3. 屋形トンネル(やかた 距離:360m)
  4. 小鶴トンネル(こづる 距離:160m)
  5. 万恵第二トンネル(まえだいに 距離:300m)
  6. 万恵第一トンネル(まえだいいち 距離:500m)
  7. 白岳第二トンネル(しらたけだいに 距離:170)
  8. 白岳第一トンネル(しらたけだいいち 距離:330m)
  9. 肥後トンネル(ひご 距離:6340m)※
  10. 登俣トンネル(のぼりまた 距離:850m)
  11. 鮎帰トンネル(あゆがえり 距離:630m)
  12. 日光谷トンネル(にちこうだに 距離:220m)
  13. 大手木トンネル(おおてぎ 距離:390m)
  14. 古屋敷トンネル(ふるやしき 距離:130m)
  15. 坊ノ木場トンネル(ぼうのこば 距離:130m)
  16. 上片岩トンネル(かみかたいわ 距離:150m)
  17. 馬廻トンネル(まめぐり 距離:220m)
  18. 生名子トンネル(おいなご 距離:820m)
  19. 原女木トンネル(はらめき 距離:470m)
  20. 横石トンネル(よこいし 距離:140m)
  21. 段トンネル(だん 距離:480m)
  22. 八丁山トンネル(はっちょうざん 距離:2030m)
  23. 大平山トンネル(おおひらやま 距離:1200m)

以上が九州道名物連続トンネルの全トンネル名になります。ひらがなを記したのは、漢字を見ても読めないトンネルがいくつもあったので、念のために書きました。みなさんは、いくつ読めましたか?ちなみに私は23個中12個正解でした。正答率52%。微妙ですね。。

9番目に紹介の肥後トンネルですが、このトンネルは九州道最長となっており、日本国内でも11番目の長さとなっています。肥後トンネルにはその距離の長さから入り口付近には信号機が設けられています。全長6kmを超えるトンネルのため、トンネル内で突発的な事故があった場合には通行を止めるためにすぐに入り口に伝わるようになっています。ちなみに23連続トンネルには登場しませんが、同九州道の加久藤トンネル(かくとう 距離:6260m 九州道第2位 全国12位)にも信号機が設置されています。

トンネルの名前の由来について

ここまで連続でトンネルについて説明してきましたが、運転中ずっと気になっていたことがありました。それは、「トンネル名の由来ってなんなんだろー」ということです。トンネルに名前が付けられたということは、何かしらの意味があってつけられたわけです。なんの意味もなくとりあえず命名したにしてはしっかり読めるトンネルも半分くらいあるわけで。

そもそも日本でトンネルと呼ばれるようになったのは、今からおよそ50年ほど前、昭和43年頃と言われています。日本でトンネルと呼ばれる以前は『隧道(ずいどう)』と呼ばれていました。この隧道(ずいどう)はそもそも中国語に由来し、もともとは【墓穴に通じる道】という意味を持っていました。そのため縁起が悪いということになり英語のトンネルが隧道(ずいどう)に代わる言葉として定着したのでした。しかし明治時代にトンネルの訳語として隧道(ずいどう)があてがわれたことから、この文字本来の持つ意味が変わっていき、現在では『山腹に穴を掘って通じた道』という意味に変わっています。

隧道(ずいどう):墓穴に通じる道→山腹に穴を掘って通じた道

このようにしてみると全く違う意味に変わっていることが分かりますね。

ここまでトンネルという言葉が使われるようになった由来を説明しました。次にトンネルに名付けられる名前について説明します。

  • トンネルが通る場所の地名及び渡河する河川を参照
  • トンネルが設置されている市・町・村の意見を参照
  • トンネルが設置されている市町村の住民の意見を参照

主にこの3点から決定されているようです。ですからやみくもに名前が付けられたわけではなく、トンネルを通過する周辺の地名や河川、市町村の意見などを参考にして命名されているわけですね。

例を挙げてみると、鮎帰トンネルや馬廻トンネルは、険しい山間地帯を抜けて盆地に抜ける必要があったそうです。

馬廻トンネル:険しい山間部を抜けるのを馬が嫌がり引き返したという逸話

鮎帰トンネル:もともと回遊魚の鮎、そんな鮎でさえも引き返すほどの険しい道

そういう意味があったのか、と考えながらトンネル名を見ていくと不思議と読めてしまい、且つその見慣れないトンネル名に親しみさえ感じてしまいますね。

名物トンネルを通行できない車両があります

およそ38kmにわたって続く「トンネル23」ですが、山間部を貫通するため場所によっては6000m以上もトンネル内を走行する必要があることから、全ての車両が通行できるわけではありません。トンネル内での事故を未然に防ぐ意味からこの「トンネル23」を含む八代JCTから人吉ICまでの1区間においては、危険物積載車両の通行が禁止されています。トンネル内で事故が起きたら大事故にもつながりかねないわけですから通行ができないことも納得できますね。

ちなみに危険物積載車両はトラックの後ろに「危」のプレートがついているので分かりやすいです。

<危険物に該当する積載物一覧>

  • 火薬類
  • 高圧ガス
  • 毒物または劇薬
  • 消防法別表1に掲げるもの(第一類〜第六類)
  • 腐食性物質
  • マッチ

一覧で挙げてみましたが、どれも危険物にあたります。言われてみればこのトンネルではこうしたトラックは見かけていないかもしれません。危険物運搬車両はこの区間は通行できないため、一般道である219号線を通行することになります。九州道を通れば38.5km、およそ30分で通過できる区間を、219号線は55km、約1時間10分かかります。九州道と球磨川の間を沿う道路ではありますが、時間が勝負のトラックドライバーにとってはこの30分の差は非常に大きいですね。ですが安全を考えたら致し方ないのかもしれませんね。

まとめ

今回は普段何気なく使っている九州道、トンネル名の由来が気になったことから記事にしました。トンネルの名前を知り、その名前の由来を知れたことで、今後九州道を通行する際には運転しながら楽しむポイントが増えたような気がします。皆さんも九州道を通行の際にはこの【トンネル23】を楽しみながらぜひ通行してみてください。