パイをお腹一杯に食べる方法、それは大きなパイを新しく作って食べることだという前のお仕事でのお話。
おはようございます、のだめです。
今日は前の職場であった出来事について書いてみようと思います。
前の職場関係はいくつも書いてるので、気になる方は別の記事も読んでみてください。
現在、パチンコ業界は一昔前の20兆円産業と言われた時代に比べて、店舗数でみると約半数が廃業して、加速度的に店舗数は減少してきています。
この流れは今後も続くと思っています。そんな先の見えない業界ですが、今から10年以上前、当時自分の働いていた地域でも、遊技人口の減少は問題になりつつありました。
近隣で競合店が営業しているほとんどのパチンコ店では、他店調査という名目で他の店舗の遊戯人数や、新装開店時の配置調査などを日々の業務として行っています。
それはおそらく今でも続いていると思います。
そして、私の働いていた地域に接した地区に大型店がひとつ、またひとつとオープンし始めたのと合わせるように、自分たちの地域の遊技人口が少しずつ減り始めたのでした。
日々のこの調査からも、前年比や前月比、曜日比などで調査しても明らかに、当地域から周辺地域の大型店舗に遊技人口が流れているのは明らかでした。
そんな中で、自分たちのいる地域では6店舗近くの小規模パチンコ店が乱立する密集地隊でした。大型店からすれば、吹けば飛んでいってしまうほどの小さな店舗です。
日々減少していく遊技人口をなんとかして自分の店に引き込もうと、イベントをバンバン打ってお客さんを煽るようなお店や、射幸心をバンバン煽るようなメールを送りまくったりするようになります。
それらは中で働いている人ですら、どのイベントが熱いイベントなのかわからなくなるほどでした。
当時はまだイベント規制が設けられる前でしたので、イベントはやりたい放題です。
出玉のアピール方法についてもやりたい放題の無法時代でもありました。
新イベントの告知をすれば、瞬間的にお客さんが集まってくるので、どの店もやめられなくなっていたんです。
ですが、イベントの乱立はお客さんにとっては逆効果でもありました。
当然毎日イベントなんかやっていたら、利益出ませんから、イベントの99%は嘘イベントです。
新イベントで告知して、瞬間的に遊技人口は回復するが、嘘イベントだと分かると次回からは全く集客出来なくなります。当然ですが。その繰り返しで、新イベントをどんどん初めて集客の悪いイベントはすぐ無くなります。
そんなわけで、ほとんど毎日がイベント日でしたので、本当に熱い日が薄まってしまい、集客したいイベントでお客さんが集められなくなってきていました。
ですが、イベント日を減らすとお客さんも減るように各店の管理者が思っていたかはわかりませんが、どの店もお客さんが日に日に減ってきているにも関わらず、嘘イベントは減らせないままでした。
そんなわけで、嘘イベントの巣窟として、だんだん自分たちのいる地域はお客さんに周知されるようになり、遊技人口が減るという、負の連鎖が始まりかけていました。
そんな中で、立ち上がったのが一人の店長でした。(他のお店)
「もう、ヤメにしませんか?このままいけばここの地域は共倒れになります」
という一人の店長が声を上げました。おそらく他の店の店長も同じことを思っていたのでしょう。その声にほぼ全員が賛同しました。
そして、店の垣根を超えた店長会議が開催されたのでした。
地域の競合店と一致団結して会議とか、自分は今まで聞いたことがありません。
今でもそんなことを聞かないので、相当珍しい試みだったと思います。
その店長会議で決まったのが、
- 乱立する日々のイベントを一掃し、当分ノーイベントでいくこと
- 各店舗の足並みを揃えるために、地域を巻き込む合同イベントをその後開催する
ということでした。
この会議から、どの店舗も約ひと月一切のイベント、新装開店を取りやめ、通常営業に戻りました。
お客さんを煽るようなのぼりなども全て引き払って、何もイベントをしなくなりました。店内でも煽りマイクのような宣伝もなくなりました。
すると不思議なことが起こりました。
それまでイベント目的で来店していた客層がいなくなり、瞬間的に各店舗の遊戯人口は落ち込んだのですが、その後、地元のお客さんの層が戻ってきたのです。
瞬間的に落ち込んだ人口が、地元客の復帰で若干回復しました。
地元のお客さんにとってはイベント狙いの客というのはあまり好まれていないことがわかりました。
その後、ひと月ほどかけて、もともと地元で遊戯していた客層がそれぞれの店に戻りつつありました。
そこで2回目の店長会議が開催されます。
地域の全ての店舗合同で、一つの大きなイベントを開催する、ということが決まりました。
ここで決められた一つのルールが、出玉イベントは禁止でした。
やっとお客さんが戻ってきてくれつつある中で、出玉イベントをやったら以前と同じになってしまうから。
ということで、全店舗合同のイベントが開催されました。
各店舗でやったこと
- 野菜の詰め放題
- 祭りなどで出される屋台の出店
- 各店舗で合同の景品の大抽選会
- スタンプラリー
といったように、いずれもパチンコ店とは関係のないようなイベントを行いました。
袋いっぱいに人参やジャガイモ、玉ねぎを詰めまくるお客さん。
駐車場に設置された屋台で、お客さんはもちろん地域住民の子供連れのお客さんが焼きそばを食べたり、綿菓子を食べたり。
各店舗でスタンプを押し、引換券をもらい、大抽選会に参加。
こういったイベントを楽しんでくれたのは、ほぼ地元のお客さんたちでした。
イベント目的のお客さんは当然景品には興味ありませんから、ほとんど参加はしていませんでした。
この合同イベントは3日間連続開催し、1年で3回開催されました。
この合同イベントは大盛況で、出玉イベント以外のイベントをすることで、地元のお客さんが少しずつ戻ってくるようになりました。
特に出玉を出す必要もなかったので、店側としても痛い出費にはなりません。
年末の合同イベントが終わったときは、店長職だけではなくて幹部役職者も他店舗の役職と交流を持ったり、一緒に忘年会を開催したりと、一つの会社の垣根を取っ払って、地域一丸となって盛り上げることが出来ました。
ですが、この合同イベントが定着し始め、来年も合同イベントを開催しようと店長会議で決まった直後、
お上から、イベント規制の通達があったのです。
新装開店以外のイベント、一切禁止。
各店舗とも、出玉をアピールする目的ではなく、地域活性化のために始めたイベントであるという認識でしたが、
イベント規制の通達年ということで、お上の審査基準が相当シビアになっており、地域活性化イベントも、イベント対象として、禁止させられました。
各店舗が協力して、団結し始めた矢先での通達だっただけに、ダメージは相当大きかったです。
お上に逆らえば、待っているのは営業停止処分ですので、合同イベントは翌年から開催されることはありませんでした。
また、この通達が下った時期と合わせて、各店舗を取りまとめていた店長の突然の退社もあり、足並みが揃い始めていた私たちの地域は、また散り散りになっていくのでした。
あのとき、お上の通達が数年時期がずれていたら、この地域の現状は少し変わっていたかもしれませんが、それはもう兵どもが夢の跡です。
というわけで、今日は前の職場であった出来事を書いて見ました。
それでは、今日も素敵な一日になりますように、のだめでした。