当事者同士での温度差。

おはようございます、のだめです。

週明けから、久しぶりに新横浜を離れて、出張で某県に行ってました。

突然の出張だったので、観光する時間は無かったのですが、お好み焼きを食べる、という目標が叶えられました。

 

この日、私は上司のシーサーに同行していました。

 

月曜日の朝、いつものように事務所に出社すると、シーサーから「これから某県のどこそこに来て」という無茶振りの指示電話が、かかって来ました。

 

以前も同じようなことがあり、すでにシーサーの思いつき指示電話は体験済みだったので、耐性が出来ていたのでしょうか、さほど驚かずに、

「これからですね?分かりました。すぐに向かいます」

と言って、新幹線に乗り込み、目的地に向かいます。

 

前回の経験から、シーサーのような人もいるんだ、目くじら立てて苛立ってもしょうがない、逆に先日判明した、電車に乗っての勉強が思いの外捗ることを利用して、いっそ今日は勉強を十分出来る日なんだ、と思うことにすれば、それなりに充実した1日に出来るのでは、と考えました。

 

そして、予定時刻より1時間早くついて、待ち合わせ場所の喫茶店で昼食をとります。

 

今回シーサーは時間通りに待ち合わせた場所にやって来ました。(内心ホッとしました。スマホぶん投げなくて済みました 笑)

 

「今日は、取引企業にトラブル事案の進捗について報告に行くから、一緒についてきて勉強しなさい。現場じゃないと経験出来ないこと、たくさんあるから」

 

ということでした。

 

今回の訪問は、ざっくりいうと、貨物を運送する過程でトラブルが発生し、そのトラブルからひと月が経つが、会社としてどういう対策に取り組んでいるか、ということでした。

 

今回、シーサーは束になった書類を抱えていたので、ある程度準備はしているようでした。

 

取引会社に行き、担当者への報告が始まりました。

シーサーは考えてきた対応策を、ひと通り説明しはじめました。

 

話しを横で聞いているときに、私は頭の中で

「あれ?このままこの説明で終わったら、まずいんじゃない?」

「多分、所長さんから、色々質問されるな」

と、思っていたのですが、やはりというか案の定というか。

 

相手の所長から質問が飛んできました。

「ひと通り、説明してもらって、内容は分かったけど、オタクの会社は今回のトラブルについてどう思ってるの?」

 

「え?どう思ってるとは?」

 

「説明では、現地の会社が運搬過程においての確認を随時行う、とあるけど、このやり方は、現地の会社からしたら、負荷でしかないわけですよね?それを分かった上で今のやり方を今後も継続してくれるということなの?」

 

「このやり方に変えたことで、少なからず現場からは良い悪いは別として何かしら意見が出てると思うけど、それは汲み取ってるの?」

 

「あれからひと月が経つけど、オタクは現地に行って、今説明してくれた行程を実際に確認したの?」

 

「現地の人に、私たちが望んでいることが、伝わっているの?」

 

と、所長さんの質問が矢継ぎ早に飛んできます。

 

実際には、ひと月が経って、現地からはこういう段取りで今後やって行きます、という報告だけ受けて、それを丸投げのような状態で相手に報告しているものでした。

 

当然シーサーは、そんな質問、自分に言われても、というような顔をして、言葉に詰まります。

「え・・・あ・・・うぅ・・・」

 

横に同席していた私まで申し訳なくて顔を上げられなくなりました。

 

自分が感じていた、このままではまずい予感は見事に的中したのでした。

シーサーが確認するはずないじゃないか。

 

とは思えても口には出来ず。言われたい放題で、改善策を再考するということで、この日は会議が終わりました。

 

会社の外に出て、タクシーを呼ぶと、シーサーはうなだれていたので

 

「ちょっとトイレ行ってきますね」と言い、トイレに行くと

 

ちょうど会社の所長さんもトイレにやってきて、鉢合わせしました。

 

「のだめさん、今タクシー呼んでるところでしょ。どうせ時間あるから、一服しよう」

と言われ、喫煙所に。

 

この所長さんとはまだ数回しか会っていないのですが、同じ喫煙者ということと、お酒好きということでウマが合うのか、会うたびに誘ってくれます。

 

「のだめちゃん、君が早く上の立場になって、変わってよ」と言ってきたので

 

「申し訳ありません。申し訳なくて、頭を上げられませんでした。」とまず謝りました。そして、続けて

 

「一番の問題は、弊社と現地の企業がひと月前のトラブルを『そういえばこんなことあったねぇ』的な感じで風化してきてしまっていることだと思うんです。

私たち運送会社は日々いろんなものを運んでいるので、その中の一つ、という感覚があるのかもしれません。

所長さんサイドからしたら、たくさんある中の一つではなくて、自分たちの大事な商品なわけですから、時間が経っても、過去にあったトラブルで片付けられないのも当然だと思っています。

 

ですから、今回のトラブルに関して、起こっちゃったことはしょうがないとしても、次、同じことをしないために、自分たちに出来ることは何か、ということを考えて、こういうことを現場で実践していますとか、こういう意識を周知徹底した結果、現地でのトータルで見たときのトラブルも明らかに減少しています、とか、

今回のトラブルを教訓に、どういう取り組みをしているのか、ということをこちらから報告して行くことで、安心や会社としてこのトラブルに向き合っている、ということにつながるんだと思います。

 

書面での確認や、やり取り、報告は誰でも出来ますが、今お話しした取り組みは、実際に自分が動かないとお伝え出来ませんよね。

ですので、私からも上司に話して、この件には少しでも関わらせてもらおうと思っています。

 

まだ、経験が浅いもので、うまく説明出来ないのですが、私はそう思っています」と謝りながら話しました。

 

すると所長は、「当事者同士の温度差が一番大きいよね」と。

 

このまま何も変わらなければ、またいつか同じトラブルが起きる。

 

「自分が所長でいる間に、のだめちゃんが変えてくれ」と言ってもらえました。

もう、ウチの会社は使わない、とは言わない所長さんが神に思えました。

 

現場経験がない私にとって、こういう人の考えを直に聞いたり出来ることは、本当に勉強になります。

 

出来ることなら、そういう勉強になることは社内で学べることが一番良いのでしょうけど、現時点ではちょっと難しいかもしれません。

 

「私が、変えますよ。」と所長さんには宣言して、お礼を言い、工場を後にしました。

 

帰り際、車内でシーサーは

 

「たくさんあるうちの一つだってのに、そんな細かいこと言わなくてもなー。こっちはどれだけモノ運んでるんだって。なぁ、のだめちゃん?」と言ってきました。

 

温度差。今、はっきりと感じました。

 

それでもまだ私はこの会社に入ったばかりです。

所長さんのような人がいる会社だったら良かったのに、と何度も思いましたが、まだここを辞めるつもりもありませんので、今の自分に出来ること、やらなければならないことを、少しずつ積み上げていこう、と決心したのでした。